7.20.2010

A.INIESTA to D.JARQUE








"スペイン悲願の初V!イニエスタ亡き盟友に贈る決勝点"

2010年7月12日 17時0分 (ZAKZAK/夕刊フジ)


 スペインが至極のパスサッカーで無冠を返上した。サッカーW杯南アフリカ大会は11日(日本時間12日未明)、ヨハネスブルクで決勝を行い、スペインが1-0でオランダを下し、悲願の初優勝。延長終了間際にMFイニエスタ(26)が決勝点を挙げ、歴史的快挙に導いた。スペインはW杯で8カ国目の優勝国となった。

 主導権がめまぐるしく入れ替わる120分の死闘にイニエスタが終止符を打った。延長後半11分、ペナルティーエリア内でパスを受けると、迷わず右足を振り抜いた。矢のようなボールは相手GKの手を弾き、左サイドネットに突き刺さった。劇的なゴールにユニホームを脱ぎ捨ててピッチを全速力で走り抜け、喜びを爆発させた。

 シャツには「ダニ・ハルケは、いつも僕たちとともにいる」と書かれていた。昨年8月、心臓発作で26歳で急死した親友のサッカー選手、ダニエル・ハルケに贈るメッセージ。「(ゴールを決められずに)ここまで彼をたたえることに失敗し続けきた。今日それができたことが何よりうれしい」と感涙した。

 DFセルヒオ・ラモスも2007年に試合中の心臓発作で22歳で亡くなった元チームメート、DFアントニオ・プエルタにささげるメッセージをシャツに書き込んで試合に臨んでいた。相次ぐ仲間の不幸が、チームの団結力を高めた。

「僕たちはすべてを出し切った。この気持ちは言葉にできない。家族やみんなのおかげだ」

 涙まじりにほほ笑んだのは、悲願の初優勝を導いたMFイニエスタだ。

 決勝弾直後には、「ダニ・ハルケ、君はいつも一緒にいる」と記されたアンダーシャツを誇示した。昨年8月、MF中村俊輔も所属していたエスパニョール時代のDFハルケは、遠征先のイタリアで26歳で急死。将来の代表候補の死に、スペイン中が衝撃に包まれた。

 同世代のライバルで、U-21代表ではともに戦った親友に「勝利をささげたい」と、イニエスタは声を詰まらせた。敗れた初戦・スイス戦後にはミーティングで「ハルケのためにも団結して戦おう!」と訴えていた。

 『無敵艦隊』と称されながら、W杯では優勝に縁がなかった。歴史的な国内の民族間の対立が、チーム内にも影を落とすことが一因とされた。しかし、親友への思いに燃える男の姿に、熱くならない者はいない。警告(カード)覚悟でユニホームを脱いだパフォーマンスも、結束を導いた親友へのお礼だった。

 団結力は体格差をも埋めた。1メートル70のイニエスタら攻撃陣は、日本ともさほど変わらない。大型選手をそろえ、9枚の警告も意に介さない激しいオランダの守備に苦しむ時間帯も多かった。

 しかし、44年ぶりに優勝した08年欧州選手権で見いだした華麗なパスサッカーを貫いた。大会通算8得点での優勝は史上最少だが、引いて守った結果ではない。初戦を落としながら優勝にたどりついたのも史上初だ。「美しいサッカーこそ勝利にふさわしい。このスタイルは、これからも継承され続けるだろう」とデルボスケ監督は胸を張った。

 『無敵艦隊』とは本来、スペイン大艦隊を撃破した英国人が皮肉を込めて作った言葉だ。しかし、8万4490の大観衆はこの夜、真の『無敵艦隊』となったスペイン代表を確かに見届けた。


R.I.P Daniel Jarque...

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